ペットを触った後はきちんと手を洗っていますか?
ペットに口移しでおやつをあげたり、口を舐めさせたりしていませんか?
噛まれたり引っかかれたりしていませんか?
もしペットに口移しでおやつをあげたり、口を舐めさせたりしているのなら要注意。
何故なら動物の口の中には人に害を及ぼす細菌がいるからです。
この記事では、ペットの口の中に潜む病原菌パスツレラ菌について、その正体と症状、予防方法をご紹介します。
パスツレラ菌ってなに?
パスツレラ菌とは細菌の1種です。
細菌と言って聞いたことがあるのは食中毒を起こすO157を始めとする大腸菌や高齢者の予防接種でお馴染みの肺炎球菌ですね。
パスツレラ菌もそんな細菌の中の1種類で、主に動物の口の中に存在しています。
例えばイヌでは約75%、ネコはほぼ100%が口の中にパスツレラ菌を持っていると言われています。
またネコの約20%は爪にパスツレラ菌がいるんです。
ウサギもパスツレラ菌を持つと言われていて、その他のペットについては詳しくは調べられていないようですが、絶対にパスツレラ菌を持っていないとは言えません。
ちなみにパスツレラ菌はイヌやネコ、ウサギには悪さをしません。
人以外の動物はパスツレラ菌と上手く共存して生きているのです。
パスツレラ菌はヒトにどうやって感染するの?
パスツレラ菌がヒトに感染するのは、ペットに噛まれた傷口からがほとんどです。
噛まれた場合はパスツレラ菌だけでなく他の細菌に感染することもあります。
しかし他の細菌よりもパスツレラ菌が原因であることが多いです。
噛まれる以外の原因は、引っかかれたことによる傷口からの感染です。
猫の約20%は爪にパスツレラ菌を持っているというデータがあるので、特にネコに引っかかれた場合は注意が必要です。
さらにパスツレラ菌はペットの口の中に存在しているため、傷口を舐められたり口を舐められることでも感染する可能性があります。
動物と同じ空間にいるだけでは感染しないと言われています。
- 噛まれる
- 引っかかれる
- 口移しなどの濃厚接触
パスツレラ菌に感染したときの症状は?
ペットに噛まれたり引っかかれたりして感染した場合、受傷部分が腫れます。
大体、数時間〜2日くらいで症状が出ます。
健康な成人だと症状は軽いですが、そのまま放って置いたり糖尿病などの基礎疾患があるときは症状が重くなることもあります。
具体的には、腫れた部分が広がって皮膚が壊死し、さらに放置すると骨髄や血液中にパスツレラ菌が入り込むまでに進行します。
死亡例も報告されています。
また、咳や痰が出て肺炎を起こすこともあります。
この場合も、基礎疾患のあるヒトで発症しやすく、症状も軽いものから重いものまでさまざまです。
- 受傷部分が腫れたり壊死する
- 咳や痰が出る
パスツレラ菌の検査は?
パスツレラ菌の検査として細菌培養検査という検査を行います。
検査には受傷した患部のぬぐい液や肺炎症状がある場合は痰を使います。
重症化している場合は、骨髄液や血液を採ることもあります。
提出された検査材料は、パスツレラ菌を増やす検査をします。
もしパスツレラ菌が検出されれば、その後にどの種類の抗菌薬(抗生物質)が効くかを調べる検査に進みます。
全てが完了するまでおおよそ3日〜1週間かかります。
そのため、結果を待たずに抗菌薬(抗生物質)が処方されることがほとんどです。
また街のクリニックでは検査ができないため、ペットに噛まれたなどの情報があれば検査をせずに治療を行うこともあります。
パスツレラ菌の検査方法
検査材料:患部のぬぐい液、痰
(場合によっては骨髄液や血液など)
検査にかかる時間:3日〜1週間程度
パスツレラ菌に感染したときの治療方法
パスツレラ菌に感染した場合には抗菌薬(抗生物質)による治療が行われます。
抗菌薬の種類は、ペニシリン系(商品名:サワシリン、アモキシシリンなど)やセファロスポリン系(商品名:フロモックスなど)が処方されます。
患部が腫れるくらいの軽症であれば上記の飲み薬で治療できますが、血液にまで菌の侵入を許してしまうと入院する必要があるでしょう。
パスツレラ菌に感染しないためには?
まずは傷ができるほどペットに噛まれたりすることのないように注意する必要があります。
また、ペットの爪の手入れをきちんと行うことが大事です。
さらに口移しでおやつをあげたり、口を舐めさせたりすることは他の病気に感染するおそれもありますのでやめましょう。
動物に触ったあとは必ず手洗いをしてください。
もし噛まれたり引っかかれたりしたらどうすればいいの?
噛まれたり引っかかれた場合は、すぐに流水と石鹸で患部をよく洗います。
もともとあった傷を舐められてしまった場合も同様に流水で洗いましょう。
症状は早いと1時間弱で出ます。
患部が腫れてくるなどの症状が出た場合は、すぐに病院へいきましょう。
また咳や痰が出て病院へ行くときは、問診でペットを飼っている旨を伝えると良いですね。
あとがき
パスツレラ菌はイヌやネコを中心に、多くの動物の口の中や爪に存在しています。
ペットに噛まれたり引っかかれて感染することが多いですが、口うつしでおやつをあげるなどの濃厚な接触でも感染します。
健康なヒトでは症状は軽いですが、糖尿病やがんなど基礎疾患のあるヒトでは症状は重くなり、死に至ることもあります。
大事なペットから感染することのないよう、爪を整えたり触った後は手洗いをするなどの予防を心がけましょう。