ハリネズミに多いとされる病気、ふらつき症候群(WHS)。
この病気は早ければ生後1カ月のハリネズミでも発症し、後ろ足の麻痺などの症状が出始め、1年前後で完全に動けなくなり栄養失調で亡くなります。
飼っているハリネズミが次第に麻痺して動けなくなり、自分で餌も食べられなくなるため強制給餌が必要になります。
ハリネズミの苦しむ姿を見たくない、強制給餌をする余裕がない、などの事情があると頭に浮かぶのは「安楽死」という言葉。
今回のコラムでは、ハリネズミのふらつき症候群(WHS)で安楽死を選択するということについて考えていきましょう。
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ハリネズミのふらつき症候群(WHS)で安楽死という選択肢にたどり着く理由
ハリネズミのふらつき症候群(WHS)は発症して9カ月で約60%が、15カ月では約90%のハリネズミが運動失調で動けなくなります。
治療方法はなく、最後は餌が食べられなくなって衰弱死に至ります。
北アメリカでは、ふらつき症候群を発症したハリネズミの飼い主さんはほとんどが安楽死を望むそうです。
回し車を元気に回しまくっていた頃を知る飼い主さんからしたら、そんな状態のハリちゃんを見るのは辛いに決まっています。
もうこんな姿を見たくない…。
無理矢理ごはんをあげて生かしてもハリちゃんは辛いだけなのではないか?
安楽死させてあげるべきか?
ハリネズミのふらつき症候群の症状は麻痺が出るため、必然的に安楽死を考えることになるでしょう。
また、ふらつき症候群の末期になると運動失調により自力で餌も食べられなくなります。
そのため飼い主が強制給餌と言って、強制的にハリネズミの口からシリンジで流動食を流し込む必要があります。
働きながら流動食を作って強制給餌をするのが難しい飼い主さんもいるかもしれません。
病院に行く機会も増え、治療費が払えないという場合もあります。
ハリネズミの苦しむ姿を見たくない、強制給餌などのお世話ができない、治療費が払えないなどの理由でふらつき症候群において安楽死が選択肢になります。
ハリネズミの安楽死を考えるならまずは動物病院へ
ふらつき症候群のハリネズミの安楽死を考えるなら、まずは動物病院へ相談してみてください。
この場合はかかりつけの動物病院が良いですね。
行くことが無理なら電話をしてみるだけでも良いでしょう。
獣医さんや動物看護師さんに思っていることを話してみてください。
話すだけで1人で思い詰めていた気持ちがスッキリして、別の選択肢も見えてくるかもしれません。考えすぎると、人は1つの事しか考えられなくなってしまうものです。
また、獣医さんという第三者が入ることで飼い主のあなたでは思いつかなかったアイデアを得ることができるかもしれません。
獣医さんは病気を治療するだけではなく、安楽死をする飼い主さんに寄り添ってきた人でもあります。あなたの気持ちを理解し、一緒に考えてくれる強い味方です。
怒られるのではないか?なんて思わず、考えを相談しましょう。
ただし、獣医師の中には安楽死は絶対にしないという考えの方もいます。
そういう場合は別の動物病院でセカンドオピニオンを求めてください。
いろんな考えの獣医さんがいますので、「安楽死はしない」と言われても飼い主のことを考えていない病院だと割り切って次の病院を当たりましょう。
注意して欲しいのが、あなたの考えをきちんと聞きもせずに安楽死を快諾する獣医師です。
あなたがハリネズミの安楽死の相談をするのは、必ずしも「安楽死をしてほしい」ということではないはずです。
「安楽死を考えているけど迷っている」というのが正解ですよね?
それならば最終的に安楽死を選択するしないに関わらず、親身になって一緒に考えてくれる獣医さんを選びましょう。
あなたの話の意図を理解もせずに安楽死を進める(勧める)ような獣医師の元では、どちらを選ぶにしても後悔することになるかもしれません。
ハリネズミの安楽死を選択するあなたへ
可愛い自慢の我が子の安楽死。
強制給餌をすればまだ生きることができるかも。
でももう苦しませたくない…。
自問自答するでしょう。
いくら考えても答えは出ない。だって正しい答えなんてないんですから。
たくさん考えてください。悩んでください。あなたのハリちゃんの命です。
でも、どれほど考えて決めたことでもきっと後悔するでしょう。
後悔してください。
あなたの選択はそれほど重いものなんです。
ペットの命の選択をして、後悔しない人なんていません。
後悔して、そしてハリちゃんを一生思い続けてください。
それが1番の供養になるでしょう。愛していた証になるでしょう。
ハリちゃんの命について本気で考えられる、自分の選択肢を後悔できる、そんなあなたはハリちゃんが大好きなのですね。
自信を持ってください。
そんなあなたに飼われていたハリちゃんは間違いなく幸せでした。
大丈夫。どんな選択をしてもハリちゃんはあなたを責めたりしませんよ。
きっと、虹の橋のふもとであなたを待っていてくれるでしょう。
参考論文:Wobbly hedgehog Syndrome in African Pygmy Hedgehogs(Journal of Exotic Pet Medicine 2006)