ペットとして販売されている爬虫類のなかには、日本の冬の寒さに弱い種類も多くいます。
たとえば、人気のレオパードゲッコー(レオパ)、ニシアフリカトカゲモドキ(ニシアフ)、クレステッドゲッコー、ボールパイソン、リクガメなど、種類によって適した温度で飼育する必要があります。
温度が低すぎると体調を崩して餌を食べなくなり、最悪命に関わることがあるためです。
そこで本記事では、爬虫類飼育で主に使われるヒーターなどの保温器具の種類、選び方を解説します。
爬虫類用ヒーター(保温器具)の種類
爬虫類の飼育で用いられるヒーターは、大きく以下の種類に分けられます。
| 保温器具の種類 | メリット | 注意点 | 価格の目安 | ワット数 |
| 保温球 | スポット的に高温部分を作りやすい | 爬虫類や人が触れると火傷の原因になる | 1,500円程度〜(電球のみ) | 40W〜150W程度 |
| 上部ヒーター | 電球交換が不要で、ケージ内をじんわり温められる | 設置位置によって温まりにくい | 3,500円程度〜 | 10W〜60W程度 |
| パネルヒーター | 爬虫類のお腹側を温められる | 空中温度は温められない | 1,600円程度〜 | 3W〜45W程度 |
| 水中ヒーター | 水中で使用できる | 設置したヒーターより低い水位では使用できない | 1,200円程度〜 | 20W〜500W程度 |
まずは、それぞれの特徴について解説します。
保温球
保温球とは、電球タイプの保温器具です。多くの商品は、「赤外線」を照射することで、ケージ内を温めます。
そもそも赤外線とは、太陽光にも含まれる電磁波の一つです。赤外線は波長や温度域から、近(中)赤外線と遠赤外線に分けられます。
赤外線を用いた保温球は、爬虫類飼育にもよく用いられ、特に砂漠・熱帯地域に生息する種類に使われます。この後に紹介する遠赤外線ヒーターと比べ、スポット的に温めたいときに便利な保温器具です。
一般的には、保温球とソケットは別売りです。保温球の種類に合ったソケットを準備する必要があります。
上部ヒーター
上部ヒーターとは、ケージの上側に設置して温めるタイプの保温器具です。遠赤外線を利用した商品が多く、保温球と比べてケージ全体をじんわり温めるのに向いています。
保温球のように表面温度が高くなりにくいため、爬虫類が触れても火傷を起こしにくいことが特徴です。コンセントを指すだけで使用でき、電球の交換も不要なため、半永久的に使用できます。
ただし、設置位置を低くしても保温球ほど高温にならないことから、高温飼育が必要な爬虫類には不向きです。
パネルヒーター
パネルヒーターとは、ケージの底や側面に設置するタイプの保温器具です。ケージの外に設置する商品がほとんどですが、一部ケージ内に入れて使える商品もあります。
上部ヒーターと同様に遠赤外線を利用したヒーターで、表面温度は高くても50℃程度です。
触れている部分しか温められないため、ケージ内の温度を上げるヒーターではないことに注意しましょう。ケージの空間温度を温めるタイプのヒーターと併用されるのが一般的です。
長方形や正方形のパネルタイプのほか、ケーブルタイプもあり、複数のケージを一つのヒーターで温めることも可能です。
水中ヒーター
水中ヒーターとは、水の中に入れて使用するタイプの保温器具です。陸上で使用することはできません。
水中ヒーターには、オートヒーター(温度固定型)・ヒーター+サーモスタット一体型・ヒーターとサーモスタッドの別売り型の3種類があります。
オートヒーターであれば、爬虫類用として亀用の水中ヒーターが販売されているほか、熱帯魚用やメダカ用、ベタ用を使うことも可能です。ただし、それぞれ固定温度が異なるため、飼育する爬虫類に適した温度のものを購入しましょう。
一体型や別売り型は、サーモスタットで任意の温度に設定できます。ワット数によって適切な水量が異なるため、飼育ケージに入れる水量に合わせて選ぶことも重要です。
爬虫類用ヒーター(保温器具)の選び方
ヒーターを選ぶ際は、飼育する爬虫類に適した種類を選びましょう。
また、ワット数によって温度が変わるため、ケージの大きさや設置場所も考慮する必要があります
ここでは、爬虫類用ヒーターの選び方の流れを解説します。
STEP1:ヒーターの種類を選択する
まずは、ケージに使用するヒーターの種類を決めましょう。
どのヒーターを選べば良いかわからない場合は、以下の表を参考にしてみてください。
| 爬虫類の種類 | おすすめのヒーター |
| レオパードゲッコー、ニシアフリカトカゲモドキ、ボールパイソン、セイブシシバナヘビ、コーンスネーク | 上部ヒーター+パネルヒーター |
| クレステッドゲッコー、ガーゴイルゲッコー、トッケイヤモリ、ニホンヤモリ | 上部ヒーター(+パネルヒーター) |
| ツノガエル、イモリ、ヒキガエル、アオダイショウ | パネルヒーター |
| フトアゴヒゲトカゲ、リクガメ、トゲオアガマ、ニホントカゲ、カナヘビ、イグアナ、モニター、アオジタトカゲ、カメレオン、ハコガメ | 保温球 |
| クサガメ、イシガメ、ニオイガメ、ハコガメ、水棲傾向の強いイモリ、ウーパールーパー | 水中ヒーター |
STEP2:適切なワット数を決める
爬虫類用ヒーターは、同じ種類でもワット数の異なる商品が販売されています。
ワット数とは、1秒間に消費される電力の大きさを表す単位で、数字が大きいほど消費電力が大きくなります。つまり、ワット数が大きいヒーターほど保温性に優れているものの、電気代が高くなることが特徴です。
ワット数を選ぶときは、ケージの大きさと飼育する爬虫類の適正温度を考慮します。
たとえば、28℃〜30℃が適正な飼育温度の爬虫類であっても、ケージのサイズが30cm四方の場合と60cm幅の場合では、適切なワット数は異なります。
また、設置場所に合わせてワット数を選ぶ必要もあります。同じワット数のヒーターを高さ30cmの場所に設置する場合と、45cmの高さに設置する場合では、ケージ内の温度が変わるためです。
以下に、ケージサイズごとの適切な保温球のワット数目安をまとめました。
| ケージサイズ | ワット数の目安 |
| 45cm | 30W〜50W |
| 60cm | 50W〜75W |
| 90cm | 75W〜 |
上記はあくまで目安のため、実際に設置して調整する必要があります。
商品ごとに、設置場所ごとの温度目安や適切な水量について記載されているため、メーカーからの情報も参考にしましょう。
STEP3:実際に商品を選ぶ
ヒーターの種類とワット数を決めたら、商品を選んでみましょう。
Amazonなどの通販サイトの方が実店舗より安価で販売されており、種類も豊富なためおすすめです。ただし、ノーブランドの商品も多数販売されているため、できれば以下の爬虫類用品メーカーから選ぶとよいでしょう。
- GEX(エキゾテラ)
- ビバリア、レップカルジャパン
- 三晃商会、REPTIZOO
- ズーメッド
- マルカン(REPsi)
- カミハタ、ジャイアンガーデン
- ゼンスイ、ペットペットゾーン、ソーラーラプター
- コトブキ
- レップジャパン、みどり商会
- ポゴナクラブ
- スドー
STEP4:ソケットやサーモスタットの要否を確認する
保温球や水中ヒーターなど、ヒーター単体では使用できない商品もあります。保温球の場合はソケット、水中ヒーターのサーモスタット別売り型はサーモスタットを準備しましょう。
特に保温球の場合、口金の種類に注意が必要です。爬虫類飼育に用いられる保温球では、多くのメーカーが「E26」となっていますが、一部の商品は「GU10」を使用しているケースがあります。
保温球の口金とソケットの適用口金が異なると取り付けられないため、購入前に確認しましょう。
おすすめの爬虫類用ヒーター
爬虫類用ヒーターはたくさんの種類があるため、どれを選べば良いか迷う方も少なくありません。
そこで、ヒーターの種類ごとにおすすめの商品をピックアップして紹介します。
おすすめの保温球+ソケット
保温球なら、次のメーカーから選ぶのがおすすめです。
ソケットは、口金E26に適用したものであればお好みで選んで問題ありませんが、角度を調整しやすくコンパクトな以下の商品がおすすめです。
距離の調整がしやすいエキゾテラの「グロースタンド」は、大きめのケージやケージ外に設置する場合におすすめのソケットです。
ケージ外から照射する場合は、熱を逃がしにくいドーム型も良いでしょう。
おすすめの上部ヒーター
上部ヒーターは、現在レップジャパン・エキゾテラ・コトブキ・ビバリアから販売されています。
ビバリアの「ファンヒータートップ」は、上部ヒーターにファンが付属しています。温かい空気をケージ内に循環させられる機能が付いていて注目されましたが、レビューはあまり高くないようです。
そのため、おすすめはレップジャパンの「暖突」、コトブキの「ヒュドラヒート」です。
おすすめのパネルヒーター
パネルヒーターはメーカーによって大きな差はないため、敷きたい場所の大きさや形に合わせて選びましょう。おすすめは以下の商品です。
おすすめの水中ヒーター
水中ヒーターは、GEX・エヴァリス・テトラ・コトブキ・ニッソー・カミハタ・ゼンスイであれば、機能に大きな差はありません。
カメ用ヒーターは、エヴァリス・GEX・テトラから販売されています。
爬虫類に適したヒーター(保温器具)を選ぼう
日本に流通する多くの爬虫類は、暖かい地域に生息しているため、冬場の保温は欠かせません。
適切な温度で飼育しないと、餌を食べなくなり、最悪なくなってしまう恐れがあります。
飼育する爬虫類の種類やケージの大きさ、設置場所に合わせて、適切なヒーター(保温器具)を選ぶことが重要です。