「アクアリウム」「熱帯魚」と聞くと『男性の趣味』というイメージはないだろうか。
前回のアクアリウムブームは1980~2000年だった。
当時小学生だった私は、父親の熱帯魚水槽でグッピーが大繁殖していたことを鮮明に覚えている。
グッピーの他には大型の水槽でアロワナやディスカス、エンゼルフィッシュなどを飼うのが流行っていた。
しかしその後はアクアリウムブームは下火になる。
マニアの間では細々とブームは続いていたのだろうが、ネコやイヌブームが凄まじかったこともあり、熱帯魚の話はとんと聞かなくなった。
時を同じくして雑種犬を飼い始めた我が家の熱帯魚水槽も、いつの間にか倉庫に仕舞われることになったのである。
そのアクアリウムに、今またブームが来ている。
しかも今度はボトルアクアリウムという、ガラス瓶で熱帯魚を飼うという代物まで登場した。
今回のアクアリウムブームに乗っているのは『女性』が多い印象だ。
今までの熱帯魚ブームでは「大型水槽に大きな熱帯魚」という如何にも豪快なアクアリウムだったのに対して、今回は「小さな水槽に水景を作り上げて小さな熱帯魚を飼う」という傾向にある。
このブームの背景にはSNS、特に「Instagram(インスタグラム)」の普及があると考えられる。
TwitterなどのSNSでは文字が主役だった。しかしInstagramの主役は写真。
綺麗に整えられた熱帯魚水槽の写真をInstagramに載せるのが粋という訳だ。

ボトルサイズの入れ物に砂を敷き、水草を植えるという細々とした作業は女性が好む傾向にあるのだろう。
さらにADA(アクアデザインアマノ)の躍進も手伝って今のアクアリウムブームがある。
ADAというアクアリウムブランドは創立は1992年と前回の熱帯魚ブーム真っ只中にできた会社だ。
その洗練されたデザインは美しく、特にガラスパイプはADAの代名詞だろう。
アクアリウムを「大きい熱帯魚を大型水槽で飼う」というスタイルから、「水槽の中に自然を作り、インテリアとして完成させる」というスタイルへと遷移させた第一人者でもある。
私はADAの回し者ではないのだが、私のアクアリウムの概念を変えてここまで熱帯魚にのめり込ませてくれたことには感謝してもしきれない。
もちろん思考を凝らしたアクアリウム用品を作っているのはADAだけではない。
GEXの小型オーバーフロー水槽などは今の時代を反映した素晴らしい水槽であるし、各社が小型水槽向けのフィルターや水草が育成しやすいライトなど注目すべき商品はたくさんある。
昔、大型水槽でディスカスを飼っていたという方も、水草をたくさん植えた小型水槽でゴールデンハニードワーフグラミーやミニコリなんかを泳がせるのも意外とハマるかもしれない。
自分だけの箱庭を作り上げる楽しみをより多くの人に味わってもらいたいものである。