ヤドクガエルには毒がある?飼育できる種類やおすすめのケージ、餌を解説

ヤドクガエルには毒がある?飼育方法を解説

ヤドクガエルとは、ヤドクガエル科に分類される小型のカエルです。主に中南米に生息しており、300種以上いるとされています。
この記事では、「ヤドクガエルに毒はあるのか?」「飼育はできるのか?」を解説します。飼育方法やおすすめの飼育用品についても紹介しますので、参考にしてみてください。

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ヤドクガエルには毒がある?

そもそもヤドクガエルの名前は、カエルの皮膚毒を利用して矢に塗ることで、狩猟していた風習が由来です。現地では毒を持つアリを主食としており、餌昆虫の毒を生成し、皮膚毒として外敵から身を守っています。特に、モウドクフキヤガエルの皮膚毒は強く、1匹分の毒で数人の人を死亡させる威力を持つことで知られています。
しかし、毒のある餌を食べていないヤドクガエルは皮膚毒を生成しないため、CB個体(繁殖個体)は人に致命傷を与えるような毒を持ちません。
とはいえ、カエルは餌由来とは別に皮膚毒を持つため、ヤドクガエルに触れたらすぐに手洗いをしましょう。モウドクフキヤガエルの場合は素手ではなく、手袋で触れる方が無難です。

ヤドクガエルの種類

前述のとおり、ヤドクガエルは300種以上が見つかっています。そのなかでも、日本での流通量が比較的多く、飼育しやすい種を紹介します。

アイゾメヤドクガエル

体長4~5cm
生息地スリナム、ガイアナ、ブラジルなど

アイゾメヤドクガエルはヤドクガエル科のなかでも最大級で、名前のとおり青を基調に、黄色や緑など地域個体群によってさまざまな体色を持つ種類です。
体色による飼育方法の違いはなく、一般的なヤドクガエルの飼育方法で問題ありません。体は大きいものの、餌のサイズはショウジョウバエやピンヘッドサイズのコオロギが適しています。
流通量によって相場が異なりますが、おおむね15,000〜25,000円程度です。

コバルトヤドクガエル

コバルトヤドクガエル
体長4~4.5cm
生息地スリナム、ブラジル

大型種のヤドクガエルで、青色の体に黒色のスポットが入ります。背中は空色に近い明るい青色、手足は群青色のような深い青色をしており、非常に美しい種のため高い人気があります。20,000円前後で流通しているヤドクガエルです。

キオビヤドクガエル

キオビヤドクガエル
体長3~4cm
生息地コロンビア、ベネズエラ、ガイアナ、ブラジル

ヤドクガエルのなかでは中型で、黒色の体に黄色やオレンジのバンドが入る種類です。
バンドにスポットが入らない「バンデッド」やスポットが細かく入る「ファインスポット」など、背中の模様や黄色の濃さ、産地によって価格が異なります。一般的には15,000〜20,000円前後が相場です。

マダラヤドクガエル

体長3~4cm
生息地ホンジェラス〜ブラジル周辺

マダラヤドクガエルも地域個体群によってさまざまな体色のものが存在します。黒色をベースに背中には金属光沢のある青色や緑色、黄色などが乗ります。15,000円前後で流通しています。

イチゴヤドクガエル

体長2~3cm
生息地ニカラグア、コスタリカ

小型のヤドクガエルで、基本的にはボディは赤、手足が青の鮮やかな体色が特徴です。地域個体群によって体色が異なるだけでなく、同じ個体群でさまざまな体色を持つことが知られています。
口が小さいため、トリニドショウジョウバエ以上のサイズの餌はうまく食べられないことがあるため、ピンヘッドサイズのコオロギやキイロショウジョウバエを与える必要があります。

セマダラヤドクガエル

セマダラヤドクガエル
体長3~4cm
生息地ブラジル

学名のDendrobates galactonotusから、ガラクトノータスヤドクガエルと呼ばれることもあります。腹側や手足は黒色で、背中は黄色や赤、青色一色のヤドクガエルです。
体長は中型ですが口が大きいため、4cm程度の個体であればSサイズのレッドローチを与えることも可能です。

モウドクフキヤガエル

体長4~5cm
生息地コロンビア
野生下では猛毒を持つモウドクフキヤガエルですが、日本でもCB個体が出回っており一般家庭での飼育も可能です。
体色は背中側が黄色やミント色など一色か、腹側や手足、顎の周囲に黒色が入る個体もいます。流通量が少ないため、30,000円前後が相場です。

ミイロヤドクガエル

体長2cm前後
生息地エクアドル

小型のヤドクガエルで、通常は暗褐色の体色にミント色の縦縞が入ります。
体は小さいものの、2cm程度の個体はトリニドショウジョウバエでも飼育できますが、購入するショップで与えている餌を準備するとよいでしょう。相場は7,000円前後です。

アンソニーヤドクガエル

体長2cm前後
生息地エクアドル、ペルー

ミイロヤドクガエルに似ていますが、アンソニーヤドクガエルの方が地色が明るく赤褐色にミント色の縦縞が入ります。体が小さいためか、中型のヤドクガエルと比較して鳴き声は小さいため、賃貸アパートでも飼育しやすい種類です。
相場は7,000円前後です。

ヤドクガエル飼育に適した温度・湿度は?

ヤドクガエルを飼育する際は、年間を通して25℃前後をキープしましょう。中南米原産のため比較的高温にも強い種ですが、ケージ内が30℃を超えると亡くなる危険があります。20℃を下回る場合は、パネルヒーターをケージの底に敷いて温度を調節します。
湿度は最低でも50%、できるだけ70%以上になるように霧吹きなどで調整しましょう。湿度が上がると活性も上がるため、霧吹きするタイミングは餌の前がおすすめです。

ヤドクガエルの飼育に必要な用品

ヤドクガエルを飼うために必要な飼育用品は、以下のとおりです。

  • ケージ
  • 床材
  • レイアウト素材
  • 水入れ
  • 保温器具
  • 霧吹き

ヤドクガエルの飼育に適したケージ

ヤドクガエルは半樹上棲のカエルのため、ケージの高さは最低でも小型種で20cm、できれば30cmあるとよいでしょう。
また、通気口の少ないケージを選ぶと、餌となるショウジョウバエが逃げにくくなります。
飼育に使えるケージにはさまざまな種類がありますが、おすすめは爬虫類やパルダリウム用のガラスケージやアクリルケージです。

ガラスケージ

ガラスケージは熱や湿気に強く、傷がつきにくいメリットがあります。しかし重いため、丸洗いしにくいことがデメリットです。
湿度を保つ関係上、床材部分に水が溜まることも多いため、水を張れるケージを選ぶ必要があります。

アクリルケージ

アクリルケージは熱や湿気に弱いため、長く使うと歪む可能性があります。また、傷がつきやすいこともデメリットです。
ガラスケージよりも軽く、メンテナンスや移動はしやすいメリットもあります。

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ヤドクガエルに適した床材

ヤドクガエルの飼育には、ソイルや赤玉土を使用します。水捌けを良くするため、先に軽石を敷いてからソイルや赤玉土を敷くとよいでしょう。
爬虫類・両生類用ソイルには汚れを吸着したり、ニオイを抑えたりといった効果をうたう商品も販売されています。

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レイアウト素材

ヤドクガエルを飼うなら、ケージをレイアウトして楽しみたいものです。「レイアウトは難しそう」と思われるかもしれませんが、コケとポトスを入れるだけでも十分楽しめます。

我が家も簡易的なレイアウトケージで飼育しています。

ヤドクガエルのレイアウトケージ

使ったのはこちら↓

「いろいろ買い揃えるのは面倒」という場合は、セットで販売されている商品もおすすめです。

水入れ

ヤドクガエルが口を付けて水入れから水を飲むことはありませんが、皮膚から水を吸収したり乾燥を防いだりします。また、湿度を保ちやすくなるメリットもあるため、水入れは必須アイテムです。
水を貯められるものであれば形状は問いませんが、深いものはヤドクガエルが溺れてしまう可能性があるため避けましょう。
我が家では、下のフルーツのおさらを使っています。大きさや深さがヤドクガエルにちょうどよくておすすめです。

保温器具

前述のとおり、ヤドクガエルの適温は25℃前後です。ケージ内の温度が20℃を下回る場合、保温器具が必要になります。
ヤドクガエルのケージを保温する場合、基本的にはパネルヒーターを使用します。ケージの底面1/2〜1/3程度に敷くことで、涼しい場所に逃げられるようにしてあげましょう。

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霧吹き

高湿度を好むヤドクガエルを飼う際は、霧吹きも必須です。霧吹きは手動のものだけでなく、蓄圧式のものや自動でミストが出るミスティングシステムもあります。
ケージが1〜2つ程度であれば一般的な霧吹きだけでも問題ありませんが、ケージ数が増えると手動のものは手間がかかるため、蓄圧式やミスティングシステムを活用すると時短になります。
おすすめの霧吹きは、ミストのように細かい霧を発生させることができるタイプです。

ヤドクガエルの餌

ヤドクガエルの餌は、生きたショウジョウバエやピンヘッドサイズのコオロギ、レッドローチです。ツノガエルやアマガエルのように人工フードは食べません。

お迎えするショップで与えている餌の種類を確認し、同じものを準備するとよいでしょう。ただし、成長とともに大きな餌を食べられるようになることもあります。成長して大きくなってきたら、体のサイズに合わせて餌を選びましょう。
餌は基本的に毎日、食べ切る量を与えます。

ショウジョウバエ

餌として売られているショウジョウバエには、トリニドショウジョウバエとキイロショウジョウバエの2種類がいます。トリニドショウジョウバエは3mm程度、キイロショウジョウバエはそれより小さく2mm程度です。
餌のショウジョウバエは品種改良されており、羽はあるが飛べないフライトレス、または羽が欠損しているウィングレスがあり、どちらも飛ぶことができません。ただし、壁は登ることができるため、ヤドクガエルに与えるときはショウジョウバエを入れた容器をトントンと叩いて壁を登らせないような工夫が必要です。

ショウジョウバエの管理や繁殖方法については、以下の記事を参考にしてみてください。

ピンヘッドサイズのコオロギ

ピンヘッドとは、コオロギの生まれたばかりのサイズを指し、初令や1令とも呼ばれます。大きさは1mm程度のため、ショウジョウバエを食べられないサイズのヤドクガエルにも与えることが可能です。
ピンヘッドとして購入するか、大人のコオロギを買って繁殖させる必要があります。しかし、ヤドクガエル1匹のためにコオロギを繁殖させるのは非常に大変なので、都度ピンヘッドを購入することをおすすめします。

レッドローチ

セマダラヤドクガエルなど、口の大きなヤドクガエルにはレッドローチのSサイズを与えることもできます。

レッドローチはツルツルした壁を登ることができないため、ケージ上部の通気口からの脱走リスクは低いでしょう。とはいえ、足場があれば登れてしまうので注意が必要です。
また、レッドローチは足が速いため、脱走させてしまうと捕まえることは困難です。また、ゴキブリの一種ですので、生命力が強く脱走後勝手に繁殖してしまう可能性もあります。

レイアウトケージでヤドクガエル飼育を楽しもう!

野生のヤドクガエルには毒がありますが、飼育下で繁殖された個体には毒はありません。
しかし、多少の皮膚毒はあるため、ヤドクガエルを触った手で口や目を触ると晴れたり痛みを感じるケースもあります。ヤドクガエルはなるべく素手では触らず、皮膚に触れてしまったらすぐに流水と石鹸で洗いましょう。
ヤドクガエルの餌はショウジョウバエやピンヘッドサイズのコオロギなど小さいため、準備には少し手間がかかるかもしれません。しかし、鮮やかな体色や綺麗な鳴き声など、他のカエルにはない魅力もたくさんあります。
レイアウトしたケージで飼育すると、ヤドクガエルの色が映えて観察が楽しくなりますよ!

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