【ドラマ】インハンドからみる感染症【第一話】

 

2019年春ドラマの『インハンド』

 

出演者は、山P・濱田岳・奈々緒。

嫌いではないけど、特に好きなわけでもない面々です。

そんなドラマに何故私が魅かれたのかというと、寄生虫学者が主人公というところです。

私は医療技術職をしているので、非常に興味を惹かれました。

 

ちなみに、第一話の感想は。

 

きゃっぷ
きゃっぷ

なかなか面白いじゃないか!!

きゃっぷ
きゃっぷ

しかしマニアックな内容だなっ!!

 

と、いう語彙力のない感想で終わるのもなんなので、ここでは第一話に出てきた『トリパノソーマ』について取り上げましょう。

ドラマでかなり分かりやすく説明してくれていたので、ここではあえてもっと専門的に(ただし、分かりやすく)解説しようと思います。

 

ちなみに、動物も色々出てきて、ボールパイソンが出てきたシーンは一人で興奮してしまいました。

蛇は寄生虫の媒介動物になるので、紐倉博士が可愛がっているのでしょうね。

(媒介動物については、このあと説明します。)

 

 

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そもそも寄生虫とは?

 

他の生物に宿って栄養をもらいながら生活する寄生体のことです。

宿となり、栄養を提供している側は宿主と呼びます。

寄生体・宿主の他に、寄生体を宿主へと運ぶ媒介昆虫が存在します。

 

媒介昆虫とは・・・

 

寄生体は、この媒介者には攻撃をせず、その体内で成長したり、増殖したりして、感染の時を待っています。

 

例えば、数年前に日本でも流行したデング熱

このデング熱の媒介昆虫はでしたね。

 

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その寄生虫によって、媒介昆虫は異なります。

今回のトリパノソーマの媒介昆虫はサシガメという昆虫が媒介昆虫でした。

 

 

寄生虫には、蠕虫(ぜんちゅう)原虫の2種類に別けられます。

 

蠕虫(ぜんちゅう)

蠕虫(ぜんちゅう)とは、たくさんの細胞から成る寄生虫のこと。

人間もたくさんの細胞で1つの身体を形成していますが、それと同じようにたくさんの細胞でできています。

良く知られている蠕虫としては、サナダムシアニサキスなど。

目で見えるくらい大きい種類です。

 

原虫

1つの細胞だけで生きている寄生虫のこと。

 肉眼では見ることが出来ないサイズです。

 有名なものに、赤痢アメーバトリコモナスなど。

 

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今回とりあげるトリパノソーマは、この原虫に分類されます。

 

トリパノソーマとは?

 

簡単に絵に描くとこんな感じ。

トリパノソーマの手書きイラスト

 1本の鞭毛を持ち、これを使って運動します。

オスやメスなどの性別はなく、1個体でも増殖することが出来ます。

 

 人に感染して病気を引き起こすトリパノソーマには主に3種類あります。

・ガンビアトリパノソーマ
・ローデシアトリパノソーマ
・クルーズトリパノソーマ

 

ガンビアトリパノソーマ

ツェツェバエが感染すると、その腸管で発育し、人が吸血されて感染する。

未治療では、100%亡くなる

流行地域:中部アフリカ(特にコンゴ、スーダン、中央アフリカ、チャド、ウガンダ北部)

潜伏期間:2週間

初期症状

刺咬部の硬結(硬くなること)、発熱・頭痛を繰り返す。
硬結消失後(感染2-3週間)血液中に現れる。
次いで発疹・背痛・浮腫が現れ、2-3ヶ月すると熱は持続し肝脾腫大、頸部リンパ節腫大が見られる。
症状が進むと中枢神経症状が現れ、歩行、言語障害、痙れん、貧血に加え嗜眠傾向を示し、昏睡状態となり死亡する。睡眠病とも言われる。

治療
初期 ペンタジミン
中期 エフロルチミン

 

ローデシアトリパノソーマ

ガンビアトリパノソーマと同様の感染経路だが、本来はサバンナの野生動物に寄生する種類のため人に感染するとガンビアトリパノソーマより症状が激しい
進行も早く、未治療では数ヶ月-1年以内に100%死亡

流行地域 :東南アフリカ(ウガンダ、タンザニア、マラウィ、ザンビア)

 

ガンビアトリパノソーマとローデシアトリパノソーマ合わせて、年間推定5万-50万人が亡くなっていると言われています。

 

 

クルーズトリパノソーマ

流行地域:中南米と北米の一部(ブラジル、ボリビア、アルゼンチン、チリ)

 

媒介昆虫サシガメ類

サシガメの手書きイラスト

種類にもよりますが、大きくても2~3cm程度。

 

サシガメに取り込まれたトリパノソーマの幼体は、その腸管で増殖し10日で別の動物に感染が可能な状態となる。

人への感染は、トリパノソーマに感染したサシガメに吸血される際に排泄されるで起こる。

 

トリパノソーマの感染経路

糞中のトリパノソーマが、皮膚の傷口や目、口、鼻などの粘膜から侵入して感染

人に侵入した後は、筋肉、肝臓、脾臓、心臓などの細胞で増殖し、細胞を破壊する。

トリパノソーマの感染で起こる病気をシャーガス病という。

症状

破壊される細胞によって症状は様々。

初期は侵入した場所で増殖するので、シャゴーマと呼ばれる腫瘤と発赤が見られる。

小児で特に症状が激しく、成人は慢性型が多い

急性の場合は、1-2週間で発熱と共にまぶたを中心に片側性の顔面のむくみを生じる。

これは小児に多く、ロマーニャ徴候と呼ばれる。

数週間で自然消滅するが、続いて肝脾腫や中枢神経失調などが起こる。

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急性期の後、何十年あるいは生涯発症しないこともあるが、30%で心臓合併症、腸管合併症起こす。年間1万2千人が亡くなっていると言われている。

 

検査

血液を顕微鏡で見る検査は虫体が活発な急性期のみ有効で、慢性期では虫体の検出は困難。

その他に、同じく血液で検査をする方法もいくつかあるが、数種類行う必要がある。

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治療

初期ではベンズニダゾールが有効。

 

サシガメの生態

 

サシガメは、屋内では土の中やレンガの下などに生息しています。

 屋外では、ベランダの下やコンクリートの裏、積み上がった石や木材の中などにいます。

 日中は壁や天井の割れ目に潜み、夜間に活動をし、眠っている人や動物の血を吸って生きています。

 クルーズトリパノソーマに感染しているサシガメは、クルーズトリパノソーマを含む糞をその場で排泄します。

 このことから、別名Kissing bugとも呼ばれています。

 刺し傷に痛みや痒みはないそうですが、眠っている人が傷口に触れた後に、眼や口に触った時に、この病原体を含む排泄物が眼や口の粘膜、傷口などを通して身体に侵入します。

 

ドラマでも、犯人がサシガメの排泄物をかけるシーンで、山Pが「粘膜を狙え」と言っていました。

 

ドラマの考察

 

ドラマでは、トリパノソーマが輸入食品に付着して日本に持ち込まれ感染者を出した設定になっています。

そして、寄生虫学者の多くが海外でのフィールドワークで研究材料を集めており、紐倉博士も差し止められたパスポートを再発行してもらうために牧野に協力していました。

これは、日本での寄生虫感染症は非常に珍しいからです。

日本では、衛生環境が整い、経済発展に伴う近代化が進みました。

そのため、寄生虫感染症は激減したのです。

小学生のころ、おしりにペタリとセロファンを付けたのを覚えている方も多いのではないでしょうか?

あれも蟯虫(ぎょうちゅう)という寄生虫の検査なのですが、もうほとんど蟯虫を持っている子供が居ないため、現在は廃止されています。

しかし、交通網が発達し、人の往来が多くなったことや物流の発達で、海外から日本へ寄生虫が入ってくる機会も今後ますます増えてくると思います。

更に気温の上昇で、日本ではなかった寄生虫感染症の蔓延も、今後はありえると考えておいた方が良さそうです。

 

日本では珍しい寄生虫感染症ですが、遠い国で流行っている病気だし関係ない、とは言い切れません。

 

まとめ

 

寄生虫について、とても分かりやすく解説してくれているドラマです。

病気のことだけでなく、社会情勢もきちんと描かれています。

楽しく視聴し、ついでに感染症についても学ぶ良い機会になると思います。

 

 まだ巻数は少ないようですが、コミックも出ていますので、漫画派の方も是非読んでみて下さい。

 

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